2009年9月29日火曜日

現場見学会のご案内


今最も注目されるキーワード”再生”再利用”。
建築で言えば”リフォーム”ですよね。

西岡の家は築32年の住宅を新築同様に再生するプロジェクトとして現在工事が進行中です。そんな中、中間現場説明会を企画いたしました。北海道の最先端のリフォーム事情にふれていただくとともに当日は設計者による説明会や性能向上をリアルに体験できる公開の気密測定試験を予定しています。また、補助内容等の説明も予定しておりますので、リフォームをお考えの方はぜひお越し下さい。

2009年9月28日月曜日

建築家展を終えて

旭川の建築家展は、よい経験になりました。この場をお借りして御礼申し上げます。
ASJスタッフのみなさん、お手伝いで札幌より駆けつけていただいた㈱藤井工務店さま、なにより当日会場設営をしていただいた㈱橋本川島コーポレーションの担当者のみなさま、真剣に家づくりの夢や希望を語っていただいた来場者のみなさま、ほんとうにありがとうございました。みなさまの期待にそえますよう、心より努力いたしますのでよろしくお願いいたします。

2009年9月24日木曜日

建築家展に参加します。

今週末は、旭川で開かれる建築家展に参加します。 いま、建築家との協働は従来の家づくりに新風を吹き込んでいます。 またそれはユーザーにとって今までの窮屈な家づくりから脱出する 新たな選択肢となるかもしれません。
札幌会場:モエレ沼(ガラスのピラミッド)



「住いの相談」と称し、各メーカーの営業マンが行なう自社の商品 説明とは異なり、当日会場には道内を中心に活躍中の複数の建築家 が近作を携えて集合し、訪れるユーザーと直接応対します。 本人達とダイレクトに接することにより、ユーザーのもつ様々な疑問 が明らかになるとともにいままで、広告媒体中心のぼやけた情報がよ り鮮明になることでしょう。 最近一番嬉しかったのは、「お話ししてみて今自分のすべきことが 分かった(笑)」という感想でした。その方は今までメーカーの ショールームを見学に行っていたとのこと、しかし中味は自社の商品 説明中心、さらに後に続くいわゆる追っかけ営業にげんなり。 「そんな時に第三者としてのアドバイスはすごく新鮮に響きました。」 とのこと。また複数の建築家の意見を聞くことが出来るのも面白く、 純度の高い情報収集につながりました。とのことでした。

帯広駅前会場の様子


マイホームをお考えの際は有益な機会となると存じますのでぜひ週末 のご予定に加えてみてはいかがでしょう。

日時:9/26(土).27(日)11:00~17:00 場所:旭川デザインギャラリー    旭川市宮下通り11丁目倉囲夢 内  詳しくは http://www.asj-net.com/event/data.php?eventid=99-12

2009年9月22日火曜日

銭函の家 建て方開始

本日はお日柄もよい中、銭函の家の建て方(タテカタ:文字通り土台を敷き柱を立て始める事)開始です。午後からすこしだけ雨にあたりましたが、概ね晴天の中での作業です。大工さん4名で3階分の材料を建ち上げます。そう実は銭函の家は3階建て、最上階からは石狩湾を眺めます。





3階建ての場合は構造計算という特別な設計を行なわなくてはいけません。結果柱や梁は大きく接合はごつくなります。さらに法律の基準+25%の地震力に耐えるようにしなくてはいけないので各部の納まりがほんとうにたいへん。一番の手柄は私よりも構造屋さんでしょうか?
中央が梁成:40cmのLVL梁、支える柱は、3階建てなので一回り強度の高いカラマツ集成材です。


足場の最上階に上ると全体の様子がよく分かります。組みあがっているのはカーポートのところかな?


クライアントがオープン好きなので2階にはあまり柱がありません。そのままではねじれが大きすぎて計算上安全側に成り立たないので、柱を大きくして対応します。

一足先に3階から見える景色をお見せしますね~。




2009年9月21日月曜日

ドイツのEco


今日は数年前に行ったドイツのお話し。
今後、先進国である以上避けて通れないのが、「環境」というキーワード。残念ながら日本は個々の環境技術は世界一なのに、社会全体の目線で見ると世界に大きく水をあけられている状況です。日本と比べて最も大きな違いを感じたのは、「環境」といったときに日本ではすぐに経済や社会保障や雇用制度等と同列に論じられるのに対して、ドイツは「環境的」な「経済、社会保障、雇用etc....」という表現であらゆる物事の最初にまず「環境」を付けてそれぞれを捉える点でした。したがってよく耳にするような「環境か経済か?」といった図式の議論が非常に少なくて、あえて言うならば大切だと思われる全てのことは環境的な視点を持たねばならないと、既に国民全体が意識を切り替えているように感じました。丁度それまでの「コスト」のようにそれぞれ分野が違っても、行なう以上は掛かるものといった感じでしょうか。しかし「環境」と「コスト」と言った時にまだ日本では「理想」と「現実」のような響きを感じてしまいます。しかしドイツ人の話を聞いているとむしろ反対で従来の「コスト」中心の発想に「環境」を加えることで、真の「コスト」が分かるというのです。ムムッ??その心は???
たとえば電気は私たちの生活に欠かせないものです。これは100年後も200年後もおそらく変わらないでしょう。ならばこうしたエネルギーを石炭や石油、ウランといった外国の資源に依存しないで暮らせる社会にさっさと切り替えた方がコスト的に得じゃないの?ふんふん。そんな大事業を先進国に先駆けて実践しノウハウを確立したならば、そのノウハウには一体いくらの価値が付くと思う?なーるほど。
なんとシンプルで当然のお考え。日本ってやっぱりいろんな、中くらいの問題の陰に大きな問題を見逃しているような気がするのは私だけでしょうか?最近よく「山本さんは環境系だから~」なんて言われます。反面それは「デザイン系ではないよね~」と言われているようにも感じます。やっぱり「環境」と「デザイン」を同列に論じて比較するところから議論が始まるようです。でも両者を比較して「どっちが大切?」なんて考えること自体、なんだか時代遅れだと思いませんか?環境とデザインは比べるものじゃなくて両立させるものだと思うのですが。(笑)

古い建物の屋根架け替え工事。外断熱は当たり前、しかしこの厚さは尋常ではない。ドイツでは現在エネルギーパスという制度が普及している。簡単に説明すると建築を含む全ての製品にエネルギー消費量の表示を義務付けるというもの。不動産の場合は、古い建物でもこの数字が高ければ市場価値が高く、税金が安くなる等の優遇政策のメニューも充実している。「省燃費=高い環境性」という新たな価値観を国が示し、どうすれば古い建物でも壊さずに価値の持続や再生が可能か?という問題に一つの答えを出している。日本の場合、ここが圧倒的に弱く、古い建物の市場価値は限りなく0に近く、新築並みの大金を投じてそれを直したところで、税の優遇はおろか評価もしない場合が多い。結果、新築の方が安いといった、目先の工事費のみでコストを論じることになり、いつまでたってもスクラップ&ビルドの悪循環から抜けられない。このブログで紹介している「西岡の家」は同規模の住宅の僅か半分の工期で、ほぼ新築と同等の性能に再生できる。環境負荷は遥かに小さく、寿命は少なく見積もっても今後40年以上は楽に使用できる。既に32年を経過しているのだから、70年以上住まいとしてお役に立てることになる。考えて見てほしい、今私たちの身の回りに70年以上ゴミにならずに使えるものがどのくらいあるだろう?きっと日本なら建物はおろか街自体が別の世界に様変わりしてしまう年月だろう。
古い街を残すということは、工事費的には、割に合わないかもしれないが、次の世代に引き継ぐローンや金利、維持管理や最終処分のコストと捉えるとむしろ大きな可能性を秘めていることに気付いてほしい。


現場にタワークレーンが常備されることの多いドイツでは、かなりの建築部品が組み上げられたまま上空に運び上げられる。


ドイツの国会議事堂、上に見えるドームはイギリスの建築家:ノーマンフォスターの設計、自然光を議場に落とし、大幅に照明コストを減らすとともに、ドーム上部から旅行者は会議の様子を見学できる仕組み。議場見学の列に並ぶ多くの人が見える。



建物の外皮を二重、三重に覆い、主に太陽光の取得や換気計画を「隠す」(意匠的に)のでは なくむしろ建物の新たなデザイン要素として取り込む点に注目してほしい。単なる四画いシンプルモダーンではなく、呼吸する建築とでも表現できそうな、可変性の高いファサード。(建物の主な外見)


CDU:(ツェー.デー.ウー)ドイツキリスト教民主同盟、メルケル首相の所属する党の建物。屋根にまで大胆にガラスを用い、建物をすっぽり覆うかたちの提案。ここからは山本の想像だが、おそらくこの二重外皮の意味は、陳情やその他の応対が集中する与党のロビーや待合という「大面積が必要な反面暖房エネルギー的にはそこまで必要のない部屋は極力太陽光でまかないましょう。」それ以外の執務室や職員の詰め所などはしっかり建物の壁と屋根で覆いましょう。ということではないのだろうか?

2009年9月19日土曜日

西岡の家 開口部取り付け

さて本日、午後からは、西岡の家。サッシが入り庇が出来ています。中央に見える大きな窓の両脇に見える窓は、工務店さんから在庫のものを良心価格で出していただきました。この世に流通というものがある限り、在庫というものが発生しますが、そうしたものに目を向ける動きが最近ずいぶん注目されるようになりました。不ぞろい野菜なんかも、以前は廃棄前提のいわゆる不良在庫、しかし美味しく食べられるのになぜ不良?...なの??という、たいへんまともな意見が最近多くて嬉しいです。このサッシも寸法の誤りで結局一度も使われることなくお蔵入り。でもそんな過去をもつ品だからこそ再生(リフォーム)プロジェクトにはぴったりだと思います。
中央の大きな窓の中心には向かいの公園のプラタナスの大木が見えるようにレイアウトしてあります。2階の階段を下りるときにいつも木々の緑を感じられるように。




通りからの眺めです。

庇は見事に頑丈に付いていました。棟梁にどうせなら60cmなんて言わないで1mくらい跳ねだせばよかったかも??(笑)なんて言ったら「やめましょうよ~」と顔で言われてしまいました。

親子鷹で現場を仕切るS棟梁、お父さんと同じ現場でまして自らが棟梁なんて素適でしょ?お若いのにご覧の通りのきれいな仕事。現在32歳とのことです。

管の貫通部分をしっかりウレタン充填します。
この建物は、圧力を掛けて気密測定を行ないます。今年から自分の現場は全数気密測定を標準で盛り込むことに決めました。道内の建築家の中ではまだまだ珍しいけれど、デザインと性能が両立して長く使える家を作りたいと思います。言い忘れましたが極力窓の上に庇を設けるのも、外断熱の場合は壁の仕上がりよりもサッシを引っ込めるのも、地味ですが窓を湿気から守り、建物を長持ちさせる工夫なんですよ。
それではみなさんよい週末を。


銭函の家 ピンチはチャンス

本日、朝一、スラブ(床のこと)のコンクリートを打設した銭函の家。よい事と、すこし残念なことがありました。以前紹介したとおり、最近は1階の床をコンクリートで作ることが多いのですが、本日の銭函地域は、午後より通り雨。当然現場も降られて床がプールに、床をきれいに均そうと待ち構えていた左官屋さんの仕事が一日伸びてしまいました。工程をリードして進んでいたので少し残念。反対によいことは、とりあえず左官屋さんが床を均し終わるまでは天気がもったことと、残暑の季節の大敵、直射日光と、水不足を回避できたことです。コンクリートは急激に太陽熱で乾かすと必ずクラック(細かいひび)が生じます。理想は散水しながら常時高湿度を保ちつつ20℃以上の温度で穏やかに固まるのを待ちたいものです。そんなわけで左官屋さんには申し訳ありませんが、今回は品質重視ということで...。
日曜出勤よろしくお願いいたしまーす。


うーん水鏡!じゃありません。深さ1cmのプール。
白と黒の斑点が見えます。

黒いところは表面のセメント成分が流されて細骨材(砂)が出ています。隣の白い部分は表面にセメント(トロ)が残った状態です。

こちらはプールにならなかった物置の床、船の上に乗り左官屋さんがコテで床を均してゆきます。見ていると簡単そうですが、やってみると実に繊細な作業で難しいです。

上が仕上げられている床面、下が砂が出ている状態です。そのまま乾くと当然ながら
砂っぽい室内になってしまいます。




2009年9月18日金曜日

庇 ひさし hisashi 

南側の窓の上には、夏場の日差し避けのために庇を付けることが多いです。どんどん、断熱をよくすると、燃費もたいへんよくなりますが、その分窓から入る太陽光に気をつけないと夏場がたいへん。そこで、薄手の庇をシュッと出します。先端の厚さは10cm、出は壁から60cm。しかしこれがなかなか難しく、各工務店さんによって様々なやり方があります。見ていて面白いので紹介しますね。

緑が丘の家

岩内の家


岩内の家と緑が丘の家はこのタイプ、まめに補強を入れて頑張ります。(T棟梁 作)


宮の沢の家



さらに庇全長が長い宮の沢の家は、寸切りボルトで庇がごめんなさいをしないように引っ張って補強しています。(F棟梁 作)

西岡の家では、なんとスチールプレートで跳ね出します。(S棟梁 作)
外から見ると同じようでも、棟梁のみなさんいろいろ工夫してくれています。この場をお借りして御礼申し上げます。
「いつもめんどくさくて、ごめんなさい。そしてありがとうございます。」



2009年9月16日水曜日

銭函の家 床(スラブ)型枠

平均台ではない。(笑)なにかというと...この上にベニアを敷いて鉄筋を組んでコンクリートを打つ準備をしているところ。床が固まると、この平均台のようなものは床下に職人さんが入りばらばらに解体して床の穴から外に出します。何気なくコンクリートを見てるけど元はどろどろ、型に入れて固めてようやく役に立ちます。要は型枠:かた+わくをいかに上手に作れるか?なのです。

定規を布基礎に打ってゆきます。


基礎屋さんは軽くこなしますが、このコンクリート専用釘でも打ち込むのはたいへんです。

オレンジが床下の給気温調整用のエキセルパイプ(樹脂製暖房用管)のサヤ管です。150Φが給気管です。このように基礎伏せ図を確認したときに出る管類を全て確認します。相手がコンクリートなので忘れると厄介です。


こちらは電気屋さんのCD(ガイド)管です。グリーンはアースです。冷蔵庫や洗濯機、電子レンジに暖房便座etcと、最近の家には特にアースは欠かせません。

2009年9月14日月曜日

銭函の家 基礎断熱工事完了

             
基礎の断熱工事が完了しました。 土に接する基礎部分は熱の大きな逃げ道でもあります。今回は消費する熱エネルギ-を最小にする為に通常の基礎断熱の約3倍の断熱材を用いています。


基礎の外部側全周に100mm、基礎巾150mmの内側に75 mm、床下に75mmです。


外部に出る管にも断熱が施されます。給水管を凍結から守ると同時に、室内の熱も不用意に地中拡散しないように考慮 した結果です。

塩ビ管の外周に断熱を施したさや管の中に水道管等を通します。

アースチューブの様子:画面奥の上に見える給気管から吸い 込まれた空気は地熱で予熱され、画面中央の2本の管より 室内に取り込まれます。極力機械を用いないで、外部の冷気を穏やかに加熱するのが目的です。

2009年9月13日日曜日

西岡の家 各部総チェック

壁を貼る、断熱材を貼る、防水をするetcこれらは全て骨組み
を隠すことを意味します。そこで本日はそれらの総チェックです。
*:ちなみに柱の根本がオレンジ色なのが分かりますか?
防腐措置が終わっている証拠です。

開口部の寸法に合った開口がなされているか?上下階の柱
同士の接合は図面指示通りか?現場からの質問も全て聞き
答えられる事は極力その場で明確にしてゆきます。曖昧さは
事故の元です。

水が回りやすい隅の部分の確認。

指定の構造強度をもつ金物が使われているかの確認。


外部を合板で覆うので薄型の同等品に変更して対処する。

2009年9月10日木曜日

銭函の家 布コン打設

本日も雨の前にコンクリートが打ちあがる見事な展開です。今日はコンクリート工事を解説いたしますね~。 青く見えているのがフォームポリスチレン板(通称FP板)商品名でスタイロフォームなんて言った方が分かりいいです。この建物は基礎の外側にこのFP板を100mm、内側に後ほど75mm接着します。副次的なメリットしてコンクリートを外断熱すると紫外線による劣化から守ることができます。いくらコンクリートでも太陽と風雨に平気でさらすような設計では(特に日本の建築用コンクリートは)長持ちさせようとすると相応の費用や手間を覚悟せねばなりません。
             
長い方が32トン引き抜き金物(32KNホールダウン金物)短く細い方が通常の12mmアンカーボルトです。前者は基礎+土台+柱の3つをしっかりつなぐことが目的、後者は土台のみを基礎とつなぐことを目的としています。赤→はHD、通常アンカーはと分けて数日前に打ち合わせたとおりの位置にセットされていることを確認後コンクリートを打設します。

少々分かりづらいですが、HDと通常アンカーの他にリブの付いた鉄筋が多数立ち上がっています。
その意味が分かる人はさすがです。弊社の標準設計では、新築においては1階の床をコンクリート         で作る場合が多いです。理由は、耐久性、北海道独自の使い勝手(1階を土足で使う、ペットと暮らす、雪で濡れるのを気にしない、)、蓄熱を含む優れた温熱環境(床を1階床をコンクリートで作ると冬暖かくて夏涼しい)等のメリットが多いからです。西岡の家でも述べたように日本の在来工法の場合は地面
に近い柱の根本や土台に被害が集中し易いのです。その際、床まで全てばらさないと交換や修理が出来ないつくりなのか、床はいじらなくてよいのかは大きくリフォーム費用全体に影響します。
             
この家には外の空気は地中を通って入ってきます。冬でもこの深さなら凍らないし安定した地温が保たれているので、外気を地中に通す間に暖めてしまえるからです。

何気なく埋めてあるように感じますがしっかり外部に向けて勾配が取られ、もし室内で管の内部に結露しても外部に設けた枡に結露水が流れ出るように工夫しています。