2011年7月7日木曜日

西野の家 基礎工事

現在、ベースコンクリートを打ち終わった西野の家です。コンセプトは「愛犬と暮らす楽しげな家」。屋外にドッグランを兼ねた前庭を持ち、周囲の視線を気にせずに犬たちと時を過せるように、また暑い夏場はコンクリート土間の涼しげな1階に彼らの居場所を作り、冬場は一転そのコンクリートがペレットストーブの熱を吸収し放熱することで寒さのない穏やかな室内を作る等々、北国の室内をデザインしてゆきたいと思っています。もちろん見栄えにも、またよりリーズナブルに300mmの断熱環境が提供できるようにコストデザインや断熱仕様の研究にも昨年以上に取り組んでゆきたいと思っています。
というわけで、西野の家を担当するのはおなじみ丸稲武田建設さんです。今年の目標である坪50万円代前半でなんとか(笑)「建築家がデザインする300mm断熱の家」をまとめていただきました。実は、今後の普及を考える上で価格激戦区となるこのプライスゾーンに対する取り組みは昨年からの課題でもありました。理解ある建て主の下で「チーム南あいの里、菊水」によるチャレンジは断熱による大きな可能性を見せてくれましたが、今年はさらなる普及と多様なバリエーションへの応用にチーム全員で取り組みたいと思っています。


西区の山側は基本的に地盤のよい地域が多く、西野近辺も杭の必要性は高くありません。しかし以前の家の基礎を引き抜いた後につくる点や、古い基礎を引き抜く過程で地盤をかなり緩まさざるを得ないこと等を勘案してベースは巾を50cm→60cmとしています。もちろんその下の砂利層
 も厚みと量を増して念入りに転圧をかけています。

一昨日の豪雨の後なのに全く穴の底には水が溜まっていません。地盤の良い土地の特徴は水はけのよいこと。昨年は地盤のよくない「南あいの里の家」の基礎工事において水はけのよさと強度、コストパフォーマンスの両立に悩みました。憶えています~う?(笑)、写真で見るとたいへん地味な基礎工事ですが実際に要求される事柄はかなり多く。設計者、施工者の知識が試される部分です。

「西野の家」は長期優良住宅ではありませんが、基礎の仕様はほぼ同じです。写真を見て「ほうっ!」と目を細める人はかなりの事情通ですね~(笑)。そう一般的な住宅用の布基礎に比べて長期優良住宅の基礎は主筋量が倍になります。通常は1本しかない鉄筋が2本になり、基礎の巾も15cm以上となって強化バージョンの基礎になります。

縦筋と横筋の間隔も弊社の場合は20cm以内とかなり狭く、全体に鉄筋量の多い基礎仕様になります。ちなみに30年前の一般的な布基礎の標準は縦横おおよそ35cmとほぼ倍近く粗いものでした。中には全く鉄筋のないものもありました。

こんな風に数箇所に分けて鉄筋の間隔や各部のサイズ、鉄筋継ぎ手の定着長さ等々を測ってゆきます。たいへん地味ですがけしておろそかにできない工程なのです。

ふと気がつけばもう夏ですね~、次は宮の丘の家と旭川の家。もう少しだけ待っていてくださいね。
今日は素敵な夏の歌。ぜひご一緒に。