2011年11月17日木曜日

宮ノ丘の家 屋根スラブ

「宮ノ丘の家」の屋根はシンプルな片流れスタイルですが、意外や雨は落としても雪は落としません。落雪型、無落雪型双方の屋根をつくってきましたが、現時点では雪国の屋根は、雨は落としても雪は落とさないで冬を乗り切れるほうがよいと考えるようになりました。屋根に積もった雪に室内の熱を伝えなければ、雪の重量がどんどん増えることはなく、屋根の上で氷にしなければ載せておいても、危険な氷柱の落下を心配する必要もありません。反面、半年間雪を載せて耐える屋根をつくるのですから、加重に対する強度はしっかり確保せねばなりません。そこで以前にもブログに登場した建築家の大杉崇が得意とする、木製スラブを用いて剛強な屋根を作ります。片流れなので傾いていますが、水平にすれば床にもなる工法です。2×10(ツーバイテン:38×235mm)の材料を用いて30cm間隔に留めつけてゆきます。この上に合板を貼れば象が踏んでも壊れない屋根版(スラブ)が完成します。これに外貼り断熱をしますから、室内から見上げると等間隔にびっしり並んだ美しい大垂木のリズムが楽しめるというねらいです。

30cmピッチに墨付けをして合板を釘でとめ付けて屋根スラブの完成です。下から見上げて釘が飛び出ることがないように気を使います。

屋根の合板が濡れるのを防ぐためにブルーシートで養生をしています。この後は防湿フィルムを敷いて、いよいよ断熱工事です。

3現場とも足並みが揃ってきたところで今日はシ.ャ.ナ.イ.アで「UP」ね!!
上げ上げで行きましょう!



春光の家 建て方

11/14.15.16と雪に見まわれた旭川。雪の中「春光の家」の建て方が概ね終了し建物の姿が現れてきました。印象は低く長く、平屋独特のプロポーションが印象的な外観です。
今日はじめてお会いした棟梁はN所長も太鼓判を押す若きK棟梁。大工さんの平均年齢がどんどん高齢化する中、たいへん貴重な人材です。棟梁を助け最高の現場になるように精一杯頑張りたいと思います。建築はけして設計屋だけではできません。ブログをお読みの方は既にお分かりのように、建築というものづくりは、たくさんの人たちがそれぞれの職能を発揮し、互いに尊重し合いながら少しづつ成果を積み上げることでしか完成しないのです。

極力、エネルギーを用いないで雪かきの手間と労力を低減するために屋外アプローチの上部には全て上屋がかけられています。写真は車庫内から通りを見返したところ。

しっかりと先張りシートが掛けられた梁。「春光の家」の壁構造は「南あいの里」や「菊水」と同様のものですが、室内側の専用配線層にも50mmの断熱材を充填し壁:35cm(GW24kg/m3相当)とします。

居間の奥に立って、スタデイー通り南西側の二階建ての窓の視線がまったく居間に侵入しないことを確認します。模型とCADのおかげでこうした検討は格段に楽になりました。

大きな断面の梁は羽子板ボルトを二丁掛けしてしっかり固定します。頭が小さくカーブがきれいなこの羽子板ボルトは、メルト羽子板。クレテック金物が使えない場合や梁を露出する時に見た目がきれいな金物は重宝します。

古くからの住宅街として既に建て込んでいる春光地区は、ご覧の通り周囲の家の窓が全てこちらを向いています。こうした環境の中でほんの少しでもプライバシーを得ようとすることは、なかなかに大変なことです。問題の解決は建築家ごとにさまざまなアプローチがあって実に面白いものですが、設計というものづくりが特殊なのは、いつも解決すべき事柄を必要とするというところでしょうか?(笑)たとえば機能性であったり、こうしたプライバシーの獲得であったり、素材や色、家族に対する考え方や、各人の距離感といった事柄を解決するために必要なのが設計でありまして、「おまかせ!」といわれると逆に困ってしまうのです。たまに「予算も時間も敷地も好きなだけ使えたらどんな設計をしますか?」と聞かれることがありますが、その場合は設計の必要自体が希薄になってしまいます。困りごとあっての設計!確かにちょっとMな職業かもしれませんよね。(笑)

きょうはM.ブランチ、かっこいいです~。

若くて才能溢れる彼女ですが泣きのギターで有名なC.サンタナとの共演も味わい深いです。