2012年1月12日木曜日

拝啓 カーサ.ブルータスさま

 
 以前お伝えした建築雑誌「カーサ.ブルータス」さんの取材。「銭函の家」が2月号に掲載されています。特集名は「スマートハウスは北の家に学べ!」なんて光栄なタイトルなんでしょう!!(笑)
みなさまぜひぜひ書店へ!友人の平賀さんや先輩の宮島さんともども載せていただきました。

カーサブルータスHP http://magazineworld.jp/casabrutus/143/

ただ~誌面には、誠に残念な間違いが1箇所ございまして。

この場を借りて訂正させていただきます。

P 047:誤「床下の40kwの熱源だけで~」

      正しくは「床下の3kwの熱源だけで~」 です。

理由は建物の面積の40坪を40kwと勘違いしましたとのこと。
「銭函の家」はそんなに燃費悪くありませんので悪しからずですう~。

はじめてブログをお読みの方に分かりやすく説明しますね~。

開拓移民の地、北海道では当初本州から持ち込んだ開放的な日本スタイルの住いが気候に合わずにたいへんな苦労をしました。その後特に、建物を通り抜ける熱に関する研究が盛んになり、大きな成果をあげます。2009年に完成した「銭函の家」は40坪の室内全て(畳80帖分の面積)を暖房するのに必要なエネルギーが3kw。つまりドライヤー3本程度で足ります。冬場の外気が-10℃を下回る地域であっても、こんな建物が今の北海道の技術でできますよ~。

という内容をお伝えするのが正解でした。

 読み飛ばした方はともかく、いったいどれくらい省燃費なんだ?と期待して誌面をお読みいただいた方々、また暖房のみで40kwもの大電力を消費する建物の前で笑顔で胸を張る私の姿にあきれた方々、北海道の人ってエネルギーの垂れ流しだよね~?と感じられた方々、それはまったくの誤解ですので、ぜひブログのバックナンバーをお読みいただければ幸いです。

銭函の家 
http://ako-re.blogspot.com/search/label/%E9%8A%AD%E5%87%BD%E3%81%AE%E5%AE%B6

 日本にはまだ建物をエネルギーの観点から捉える文化が十分ではないことを痛感します。校正時に正確な数値を伝えていたのに、ライターさんもその上司も数値の誤りにまったく気付かなかったとのことのようです。

 たとえばエコカー特集で肝心の燃費を一桁以上も間違うことなど珍しいでしょう。同じ数値でも燃費に関するそれは広く読者にとって社会化された常識だからです。「リッター3kmの驚くべき省燃費!」という記述を見ればほとんどの人がおかしい!とすぐさま気付くでしょう。しかし建築の場合は、もっと悲観的に考えねばなりません。多くの人が「やはり北海道の寒さは本物だ!この程度でも北海道ならきっと凄くECOな住いなんだろう~な?」とばかりに勘違いが悪化するからです。

でも実態はまったく違いますよ~。(笑)

 2009年以降、銭函の家も含め、私の設計した建物は、ほとんどが消費エネルギーの実測を行っています。最新のものでは、厳寒期の2月の電気量の合計(暖房+給湯+換気+調理+照明)が1.3万程度という家もあります。暖房面積は38坪です。

詳しくは http://ako-re.blogspot.com/2011/04/20110304_09.html

 この場をお借りして、取材にご協力いただいた方々、特に建て主さま、そして設計や建設に携わったたくさんの方々に心より訂正してお詫びいたします。申し訳ありませんでした。

 現在、編集者の方からは丁寧なお詫びと説明をいただいています。
残念な誤りとはいえ、北海道の建築事情をとりあげていただいてとても感謝しています。今後日本も、エネルギーの切り口で建築を捉える事が少しづつ増えてゆくでしょう。なんとなく俺流のECOからそれらの見える化や客観性が求められる時代に急速に変わってゆくと思います。またぜひ取材してください。がっかりなんてさせませんから!

まあ今日は残念~!と笑いながら「運命」でも!

http://www.youtube.com/watch?v=PTr1v1ksWkQ&feature=related