2013年8月2日金曜日

屯田の家 日射遮蔽の確認

みなさん、最近また暑くなってきましたよね~。まあ北海道も昔とは違って温暖化なのか本州化なのか、夏の時期がどんどん長くなっているように感じるのは私だけでしょうか?今日はそんな夏の暑さを防ぐお話です。写真は快調に進む「屯田の家」14cmの外貼り断熱の上に貼った壁のタイベックシート。あともう少しで外壁を貼り始めます。この時期になると建物の外観がほぼ分かる状態。「屯田の家」の庇や袖壁はかなり変わった形をしているのが見て取れるようになります。正面からは豪快に跳ね出した母屋の庇が印象的。約1.7m跳ね出した庇の両脇には袖壁が取り付いています。
 
写真は1階居間の窓の小庇し、出は60cmで先端の仕上がりは約9cmの厚さを見せてスッキリと納めます。なぜ2階の庇は奥行き1.7mなのに1階は60cmなのか?理由は2階の日当たりが1階に比べて断然良いから。要は明るい二階は太陽熱も大きいので庇の奥行きも深くなるということなのです。

こちらは2階の屋根に飛び出した塔屋。ちょうど母屋のミニチュアのような形をしているのが分かるでしょうか、足場がないのでよく形が見えます。さて注目は窓のある真南の壁面。壁に光が当たっていない点に注目です。先ほど二階は一階よりも太陽エネルギーが大きい(日当たりが良い)と申しましたが3階はさらに良いのです。その塔屋の南側の壁面に日射が当たっていないということはこの庇と袖壁の形状がよく日射を抑えているからなのです。現在の時刻は午後3時、まだ明るいとはいえ太陽はかなり西側に傾いてきます。

西面に集中的に日が当たり南は影になっています。斜めに傾いた袖壁が日射を遮り窓に太陽光を入れません。実はこの庇や袖壁、また「発寒の家」では積極的に用いた縦格子等が、従来には見られなかった最近の建物の特徴的な形なのです。以前は断熱の目的を主に冬の寒さを防ぐためと考える傾向が強く、冬の日射はむしろ暖房の節約のために積極的に室内に取り入れることを重視していました。その結果、日射を妨げる庇等はむしろ省かれることが多かったのです。しかし近年では断熱建物が夏季にもたいへん有効なことが明らかになるにつれ、また前述の夏の長期化に対応して、さらには30cm以上の超高断熱の建物の可能性が認められるにつれ、何の工夫もしなければ勝手に流入する膨大な日射エネルギーに対する工夫が重要視されるようになったのです。

 
写真は現在の設計思想と過去を対比できる貴重なショット。左奥の塔屋は25年前の設計。庇を切り詰め、日射遮蔽ではなく積極的に日を入れることを重視している。結果はご覧の通り。高い南の日も、横なぎに入る西日も防ぐことは難しい。そのままでは塔屋の中が灼熱と化すので白いオーニング(日よけ)で窓をすっぽり遮光している。もちろん遮光の仕方は自由だが、現在は建物形状を最適化することで後付けのデバイスなしでも南、西日ともかなり防ぐことが出来るようになっている。

 

左の袖壁のない建物は西日が南の壁に当たり、窓を明るく照らしている。要は短い庇のみでは窓の上に多少の日陰ができるのみ。対して深い庇と袖壁は同じ条件の南の外壁と大きな窓を夏の強烈な日差しから守ってくれる。

西日に対して庇の効果が限定的なことが分かるショット。南側の壁を暖めると厚い断熱をしても輻射熱の影響はいずれ室内にも及ぶ。断熱がプアーならば、窓を遮光してもすぐに室内は暑くなってしまう。よく本州では無愛想と言われることが多い北海道の陸屋根。しかし今、日射遮蔽への必要性が長らく続いたその四角い表情を少しだけ変えようとしている。
 

誕生日ありがとう!

先月ついに50になりました。たくさんの方から「おめでとうの!」メッセージをいただきまして心より御礼申し上げます。ほんとうに時間が経つのって早いものですね~(笑)、家族が開いてくれた誕生会も今回は節目らしく特別?(笑) 長男がデザインし全員からのメッセージが入った色紙は気恥ずかしさ:1/3+嬉しさ:1/3+泣ける:1/3。
 
知らないうちに自分の言葉を話すようになったんだなあ~なんて...普段を知らない男親の...すまない後ろめたさを感じました。

 
10年の勤め人時代を経て1998年に開業して以来、とりあえずは いけいけ!で突っ走って来たように思います。そんな意味では残念ながら自分は、机の上と、お客さんと、現場の三つしか知りません。「でも家族って大切なものですね」  なーんて感じるのは、やっぱ歳なのでしょうか?(笑)