2015年5月31日日曜日

今日は楽しい運動会!

 
昨日は三男の運動会だった。ちょうど次男は修学旅行、長男は泊りがけで研修ということで、三人揃ってグラウンドでお昼。「お兄ちゃんたちもいないし今年は少なめ、手抜きでいいよね~(笑)」と妻。いやいやどうして、こんな風に3人で食べるなんて久しぶり、今年も美味しいお昼をありがとう! (笑) 

それからこのブログを読んでいただいている全てのお母さんたちに心よりの「ありがとう」と「ごくろうさま」を贈ります。あっ!来週のところは前倒しってことで。(笑)

今日の曲はやっぱ運動会特集でしょう!(笑)
https://www.youtube.com/watch?v=DR7tLlAcQoY

2015年5月28日木曜日

山の手の家 二階外壁ダメージ確認

当初は床下の空洞部分には目をつぶりその上に新たに断熱された床を載せようと考えていましたが、やはり古い床を解体してやりかえる事としました。そこで現れたのがこの光景でした。ネダフォーム断熱材の上に45mm角の根太材を30cm間隔に置きその上に12mmの構造用合板とおなじ厚さの化粧フロアーという構成でした。

この45mmの角材の間が冷気を運ぶダクトと化していました。変更案ではこの間に50mmのグラスウール(GW)を隙間なく充填しネダフォーム100mm+50mmGWの床断熱とします。

さてもうすぐ撤去予定の3階の壁と天井をパイロットケースとして解体し躯体内部のダメージを見てきました。その結果気密シートが機能しているところはGWの痛みもほとんどなく良好なものの、部分的にはかなり湿気が入っているところも見られたことは今までの記事で書いた通りです。続いて今日は再利用する二階の壁を部分的に解体し内部の状態を確認して行きます。

スパイラルダクトの貫通部分は躯体内部に気流が走った痕跡が見られました。当時は気密部材や良質な気密テープが少なく、こうした部分は施工が難しかったものと思われます。

気密ビニールを開口したところ。グラスウールはフィルター効果で黒ずんでいますが構造材や外壁側の石膏ボードのダメージは見られませんでした。

グラスウールの入れ方は荒っぽく施工者の意識の低さが伝わってきます。また不用意に壁の中に曖昧な空洞を残す事でそこが空気(湿気)の通り道になることがよく分ります。

こちらは窓の上ですが同じように構造材との隙間が目立ちます。壁のビニールも天井下地までで桁材まで届いていないのが分ります。
 
今日は考えて、考えて考えまくりました。一緒にフォリナーでも(笑)
 
 

2015年5月19日火曜日

遠藤又兵衛 邸を見学

昨日は日曜日の代休にて事務所を抜け出し小樽の遠藤又兵衛邸を見学に行きました。予想はしていましたけど、まあほんとうにお宝状態。小樽の旧家のお屋敷建築はどんどん解体されてなくなっていますから今のうちが見頃。とっても残念ですけど、たくさん写真を撮って来ました。

この廊下の美しい事。天井高は豪邸らしく9尺(約2.7m)もあります。

当時のお金持ちに流行した洋室。家全体は和風ながら応接室は洋室というパターンが多い。天井高は3m以上あって実に堂々としたもの。シャンデリアの他に暖炉も備えている。

こちらが暖炉。当時は火鉢なんかで暖を採っていたと思うけどこの暖炉を最初に目にした人はどんな思いだったのだろう?

凝った装飾が施された本格的なつくりの暖炉はとても珍しいものだったろう。

天井の装飾ひとつ見ても、この家の主の地位と財力が抜きん出たものであったことが偲ばれる。

このドアは圧巻!扉厚は7cm位もあって補修も完璧。

日本庭園に面した廊下

書院付き1.5間の床の間

床柱は杉の磨き丸太(太いそしてまっすぐで長い!)床框は漆塗り

もう凄い!和室は10畳が2室続きで襖を取り外すと20畳の広間となる。

書院の障子は富士山がモチーフ

暗く幽玄な和室から見える明るい庭の景色。和室の室内はけして明るくしすぎてはいけないという見本のような室内でした。

屋根の瓦も完璧に当時のままに再生。こんなお屋敷がごろごろあった全盛期の小樽っていったいどんな街だったんでしょう?まじにタイムスリップして当時を見てみたいと思いませんか?(笑)
 
今日はブレードランナーのサントラの中から一曲。I love Vangelis!
 
 

山の手の家 断熱構造の解明

本日は、2階の天井の解体に入っています。そこで不思議なものを発見しました。上の写真のように、2階の天井には断熱材が無いにもかかわらずなぜか気密ビニルのみが全面に貼ってありました。気密ビニルの役割は室内の湿り空気を綿状断熱材を直接接触させないために使います。単独で使われることは基本的にほとんどありません。

こちらは外壁側の天井を解体した写真です。金属製の天井下地に二階の天井ボードが貼ってありました。構造が分りやすいように左半分は天井ボードの下地のビニルを残してあります。その上には解体中の3階の床が30cm間隔に並べられた根太材と共に見えています。先程、綿状の断熱材は室内の湿り空気に直接さらして使わないのがコツだと話しましたが、写真の通りビニルナシの状態で露出しています。肝心のビニルはこのグラスウールを覆うことはなく天井側に折り返されています。おそらく壁をビニルで先張りして納める事が出来なかったので天井側で防湿しようと考えたのだと思います。しかしこれはあまり意味がありません。外壁側の断熱材はこの部屋の湿気だけを吸うわけではありませんし、そもそも断熱層と防湿層は接して設けないと意味がないからです。綿状断熱材を使いこなすには1:防湿(水蒸気)、2:防水(液体の水)、3:防風(低温外気にさらさない)、4:透湿の4つを明快に設計できることが大切です。1は室内側から2~4は屋外側から行うことが基本です。
 

こちらは中間仕切りの足元。なんとなく気流止めらしきものが見えますが詰め込みが甘く、湿気の通った黒い跡が見えます。

これは躯体内気流といって間仕切り壁の内部が煙突のようになって、かなり激しく外気交じりの空気が上下した時に見られる症状です。最上階の間仕切り上部にも気流止めはありませんでしたから、恐らく小屋裏の冷気が間仕切り壁の中を降りて二階の床まで到達していたと考えられます。二階の床下には冷気が走っていましたからこれとつながって冷気循環のサイクルを形成していたと考えてよいと思います。
 
 
解体を通して明らかになった問題点をまとめたのが上図です。こうした状況に陥るのはなにも施工側の問題ばかりではありません。設計者が断熱自体を十分理解していない。断熱ラインと気密ラインをどうやって通したらよいか?維持したらよいか?図面上で十分解決できていない。それ以前に断熱は工事側の問題でデザインとは別だと思い込んでしまっている。自分でも経験がありますが木造以外の比較的大きな建物を扱う設計者ほど北海道に住んでいてもこうした分野には無知な人が少なくないのも問題です。
 
北海道において、コンクリート(RC)造、ブロック造、鉄骨造、木造の中で環境的に最も進化したものは、少数の外断熱化されたRC造、ブロック造を除けば、圧倒的に木造です。解体を通して、感じたことはこの建物の作り手は丁寧でよく仕事を知っているな、ということでした。2階床の根太フォーム断熱や工期圧縮に有効な天井の軽量金属下地等々、木造屋では中々出てこない引き出しの多さを感じます。一方で住まい手に優しい穏やかな室内気候を作ることは難しかったようです。本人の頑張りとは反対に、熱環境的に室内とも屋外ともいえない曖昧な空間が多く残り、結果的に断熱建物として完成させることは出来ませんでした。

 
最後は、仮にこの断熱構造のまま性能を引き出せたとしたらどこをどのように設計者は意識し、また施工者と意識共有すればよかったのか?をまとめて、解体に関する報告を終わりたいと思います。大切なことはほとんど文章で書きましたからこの図はイメージとして設計脳に焼き付けてほしいと思います。赤線が「気密ライン」、黄色が断熱材、水色が外気(通気層)です。室内から1:気密、2:断熱、3:通気層の順で計画します。特に1と2は必ず一筆書きで完結しセットで考えることが大切です。どんなに複雑な断面形状であってもこの1~3を完全に理解し自由自在に設計できると(既存)のような屋外でも屋内でもない「曖昧空間」がなくなり、熱的な事故が激減します。もちろんこの「曖昧空間」の排除は相対的に室内空間の拡大を意味しますからさまざまなスタイルの室内空間をより多く、安全に生み出すことも可能にします。
 
今日は西内まりや ちゃんなんていかが、こんだけきれいで歌も最高!凄いね!
 

山の手の家 天井解体

こちらは天井の吹込GWを気密+防湿ビニールと一緒に解体したところ。垂木を受ける母屋(□105)や垂木(45×60)、野地板(180×12)なんかが見えます。この北海道スタイルの無落雪屋根の構造が最上階の桁梁の上に束立による四角く背の低い小屋組みを載せた構造であることが分ると思います。ちょっと気になるのは天井の野縁(天井の下地)廻りは金属製の軽天部材が使われていることです。前回の記事でも断熱層を貫通する部材の熱伝導率には注意が必要である事を書きました。小さな釘一本でも熱橋(ネッキョウ:熱の通り道の意)を生じると室温の高い側で簡単に結露してしまします。その観点から上の写真を見るといかがでしょう?野縁を吊る棒は金属製であるばかりか断熱層を貫通して外気が出入りする小屋裏に露出しています。足元の30~40cmは断熱材に埋まっていますがそれより上は外気に曝され、母屋に打ち込まれたインサートから吊り下げられていました。
結論から言うと天井断熱においては断熱材を貫通する形で金物の天井下地を使うことは良い選択とはいえません。小屋裏の外気の冷たさを伝えてしまわぬように天井の下地も全て木製とすることが大切です。個人的には断熱層を貫通せねばあちこちが納まらない「天井断熱」自体があまり好きではありません。理想は屋根断熱として断熱と天井組みを分離する方法がよいと思います。
 

こちらはスノーレーン(雨水の流れる水路)の底を室内側から見上げたところです。右側に梁セイ(梁の垂直方向の寸法の意)が36cmの大梁が見えます。重たい雪を半年間も載せておく北国の屋根にはこれくらいの寸法の梁がよく使われます。問題はこの大梁に沿ってスノーレーンが通っていることです。写真でも分るとおりスノーレーンの底と梁の天端(上端の意)の間の隙間はほんの僅かで、吹込GWで塞がりやすいのです。いったん塞がってしまうと小屋裏の換気がスノーレーンの左右に上手く流れず結露を生じやすくなります。前回の記事で天井のビニール越しに見えた茶色い染みの正体はスノーレーンの底に使われた赤ラワン製の耐水合板の色だったようです。
 
              
こちらがその結露部分のアップです。ラワン合板が結露する事により赤い渋色が直下の吹込GWの上に垂れて13年の間に染みを生じていました。
 
 
こちらは天井から落とした吹込GWを雪かきスコップで片付ける大工さん。この当時のGWはマット物も吹込みも、ちくちくして質がよくありません。現在の新築は全てマット物にしているので素手で触れますし服装も普段と変わりません。しかしこの当時のものを解体する場合は写真のように全身防護が必要になります。今後のリフォーム社会を考えると建材はどんなものでも安全に解体できるものにするべきでしょう。
 



こちらが天井断熱を小屋裏に上がって見下ろした写真。吹込GWの向こう側が天井です。天井を吊っている吊棒が断熱層を貫通して冷気に曝されている様子が分ると思います。話は変わりますが国が薦める「長期優良住宅」では天井断熱に天井点検口を設けて小屋裏の構造材を確認できるようにすることが求められますが、断熱層と構造が一体となるこうした天井断熱ではいかに困難な事であるのかよく分ると思います。想像してみてください。ハッチを空けて天井裏を確認した後、ハッチを閉めます。さてあなたはハッチの上に吹込GWをどうやって戻しますか?(笑) 天井断熱である以上は独立した小屋裏ごとに高価な断熱気密点検口を用いねばなりません。こうした部分は設計をより進化させるところでしょう。

こちらが無落雪屋根の外観。白く見えるのがスノーレーンです。こんな風に屋根の中央部分に雪や雨水を集めるように通常とは逆勾配が付いています。でも奥になにか突起が見えます。

なんと防水コンセント。読者の中にはなんでこんなところにコンセントがあるのか理解できない人がいるでしょう。(笑)実はこれ凍結防止ヒーター用のものなんです。でも通常は外壁側に付けます。この位置だと屋根の雨水管が詰まると水面下に沈んでしまいます。防水コンセントは水中コンセントではありませんので悪くするとショートしてしまいます。北海道で一般的なスノーレーンの屋根の欠点のひとつは排水先として雨水や下水設備という都市インフラが必要な点と家の中を上下に貫通する雨水管を凍結から守る熱線ヒーターが欠かせないということです。これは裏を返せば都市インフラの余力を奪う事ですし、都市生活者ほど電気エネルギーへの依存から抜け出せないという負のスパイラスを生みます。そんな理由で、北国の陸屋根を進化させる必要性を感じています。
 
今日はChayなんていかが?平成風な昭和フレーバーかね~(笑)

2015年5月15日金曜日

山の手の家 結露探し

本日は完全に撤去予定の3階部分の内壁を断熱材ごと全て解体しました。天井のグラスウールブローイング(吹き込みグラスウール)だけはまだ残してありますが、室内から見ると柱の外側に貼った石膏ボードが全て見えるという状況です。(詳しい壁の構造は以前のブログを参照してください。)
 
さて今日は北海道で標準的な断熱構造を持つ建物の壁や天井の内部が13年という月日の中でどのように変化するかを見てみたいと思います。上の写真は天井の吹き込みグラスウール(以降:吹込GW)を見上げて撮影したものです。吹込GWは通常のグラスウールを細かくしたものとお考え下さい。ガラス繊維で出来たダウンの羽のような感じです。室内からの湿気で傷まないように写真のようにビニールを貼った中に機械を使って必用な厚さを吹き込んで使います。北海道だとだいたい30cmくらいです。

以前のブログでも触れたように断熱材は基本的にその種類を問わず湿気を嫌います。黒く変色しているところは何らかの理由で湿気が入ったところです。上の写真はビニールに穴が開いています。埋め込型の照明器具(ダウンライト)を使っていた跡です。ダウンライトをビニールを破って断熱材に埋め込んで使用する場合は専用の製品を使うか適切な工夫を加えます。それらが不十分だとこうした状態になりやすいのです。

こちらの写真は柱の根元から天井を見上げたところです。これはよくありません。その理由は柱を挟んで左右のビニールがつながっていないからです。ビニールの無いところからは室内の湿気が天井に逃げますし、天井の冷気はこの隙間から下の階に降りて部屋を冷やします。正しい施工はビニールを先行させて隙間を作らないか、どうしてもそれが難しい場合は室内側から気流止めと呼ばれるグラスウールをしっかり押し込んで隙間を塞ぐことです。

こちらは元ユニットバスの窓廻りです。ユニットバスは解体しました。湿度の高い部屋のサッシ廻りや壁の内部がどんな風になり易いのかがよく分ります。遠目の写真でも窓の上の石膏ボードが黒ずんで染みのように見えています。

その正体は黒かび、室内の湿り空気が壁内部に侵入しグラスウールを通り抜け、外気で表側を冷やされた石膏ボードの裏で結露(水に変わること)を生じたのです。水分は水蒸気のままならあまり極端な悪さは起こしませんが一端、液体に戻してしまうといろいろと厄介な問題を生じます。それが壁の中だと場合によっては構造材の傷みのような事態に発展するケースもあります。しかしあんまり心配するのも考えもの、確かにカビは生えていましたが13年間でこの程度、石膏ボードもしっかりしていましたし、構造体の痛みもありませんでした。さらには浴室の換気扇が故障していて使えなかったということですからそれが機能していたらきっと問題はなかったと思います。よく浴室の換気扇はお風呂を使うときだけの人がいますが安全を見て付けっぱなしの方が私はよいと思います。お引渡しの際に他の建て主さんにもそうお伝えしています。

こちらはLDKの壁。柱と柱の間に見えているのが石膏ボード。浴室以外のところは特に目立った傷みは少なかったです。 


さて今度はちょっぴり深刻なお話しをしましよう。上の写真は柱を外れて打ち損ねた釘を室内から撮影したものです。でも随分錆びていると思いませんか?その理由はこの釘が外から冷やされてグラスウールの内の空気を結露させからです。グラスウールの断熱性のキモは抱え込んだ空気です。しかし空気である以上100%の絶乾状態を維持することは難しいのです。熱伝導率(熱の伝わりやすさを示す指標)の高い鉄が壁内にたった一本飛び出しただけでその釘は熱橋(ねっきょう:熱の通り道)となって壁の中で水を生産してしまいます。

全体的に見るとこんな感じ。床からちょうど50cmくらい上に一本だけ突き出ています。気になる柱の足元を見てみましょう。

こちらがその柱の足元。全長たった3cmの釘が作った水の跡が見えます。室内の湿り空気が壁の中に入り難いようにビニールを貼ったところで、グラスウール自体に含んでいる湿り空気を結露させてしまうのではきりがありません。このように釘を打ち損ねてしまった場合は抜いて打ち直すか、それが難しい場合はウレタンで釘ごと断熱処理してしまいます。もう一つ別の解決策は釘の頭の上にさらに断熱材を貼ることです。要はそもそも釘自体を冷えないようにしてしまう事です。釘が冷えねば結露など起こりません。したがって室内からのウレタン処理も必要なくなります。


天井に茶色の染みが見えます。これはなんでしょう?

この写真一枚を見てぴんと来る人は現場の達人です。まず染みが手前から奥までずっと続いていますよね、今まで見てきた黒い染みとは違ってこちらの染みは茶色です。染みの続く先に銀色に光る配管のようなものがあります。これは屋根に溜まった雨水を落とす雨水管、茶色の染みはそこに向かって伸びています。要はこの茶色染みの上にスノーレーンと呼ばれる水路があってそこを流れた水を落とすのがこの雨水管だと考えて下さい。屋根の構造がだいたい想像できると思います。水路の底は冷たい雪解け水で冷やされていて、最も天井に近い位置を通っています。屋根の水を集めるためには屋根の最も低いところに水路を設けねばならずそれは同時に天井と水路が最も近づくことを意味します。
 
ではその水路の真下にダイニングテーブルがあったとしたらどうでしょう?冬のお鍋やホットプレートを使った料理は天井を温めますよね、食堂ですから暖房の設定温度も家中で最も高くなります。そうした熱が天井を温め、小屋裏の外気に伝わります。この外気は動くので通常ならすぐに熱は外に逃げてしまいますが、先程お話したように水路の底が天井に一番近いということが災いして、小屋裏の換気が間に合わないと、このように少しづつ結露水が蓄積します。水路の底が結露し、断熱材の上に落ちた水滴が茶色の染みの原因です。室内の湿り空気が直接漏れた箇所は黒い染みとなり、部屋の熱だけが逃げた部分は茶色い染みを生じます。
 
この形式の屋根をスノーレーンと呼び北海道では非常に多く採用されていますが断熱の方法や水路の底の空間的な余裕(通常は10cm以上断熱材から離し小屋裏換気は屋根の全周で所定の面積を確保する)等細かな配慮が欠かせません。計画ではこうした従来の屋根の短所を改良した0勾配のシンプルな屋根に葺き替えます。
 
スノーレーン屋根??なにそれ? という人は別の建物ですがこの写真をご覧下さい。こんな風に建物の端から雪が落ちないように屋根の中央に集めて融けた水だけを下水に流します。この建物では壁に貼りついている雨水管が部屋の中にあると思っていただくとよいと思います。
 
 
今日はポリーニのショパンなんていかが https://www.youtube.com/watch?v=K8eV7jjifCo

2015年5月14日木曜日

第六回 JIA、テスクチャレンジ設計コンペ 登録締め切り迫る!

いよいよ本日が締め切り!

迷っている人はまずエントリーしてちよーだい!(笑)

日本の建築学校の多くは「意匠」と「環境」を分けて教えますよね。でもそんなのもう古いんじゃないかって思っています。そんな理由で北海道らしく意匠家が取り組める環境型コンペ(設計競技)を考えました。もちろん設計事務所や学校で意匠を専攻すしている人もいいけど、工務店で設計班やってますとか、実は専攻は「環境」なんですけど絵描いてみたいっす!なんて人にどんどん参加してほしい。「おいっ!代わりに登録しといたよ」なんていう粋な上司や会社のアフター5に大人の課外授業として仲間同士、取り組むのも悪くない。ぜひぜひみなさんでコンペを楽しんで盛り上げてほしい!積極的な参加お待ちしています。(笑)

詳しくはFBのコンペ専用HPへ! https://www.facebook.com/Jiatesukucompe

三五工務店さんのモデルハウスを見て

昨年、9月に工事中の「澄川の家」を見学に来られた三五工務店さんより、モデルルーム完成のご一報を頂戴し、見学に行ってきました。もの凄く大きなガラススクリーンが特徴的な外観。サッシやカーテンウオールもメーカーさんと共同開発を行ったものだそうで北国で可能となるデザインの限界を押し上げているなと感じました。
澄川の家本日のお客さま http://ako-re.blogspot.jp/2014/09/blog-post_4.html

サッシのアップがこれ。開閉する窓でも障子を見せずにデザインされています。

居間とダイニングキッチンはスキップする構成。

「北国の家だから窓は小さめに」なんていう常識をあざ笑うかのように大胆に南向きに開放された居間のカーテンウオール(窓壁)。自動車会社のショールーム(職場)じゃなくて家庭のレベルでここまで出来るっていうのは素直に驚いていいし拍手を贈りたい。

ゆったりしたお手洗いと壁に床と同じタイルが貼り上がって行くところなんてよく考えてあります。
 

階段は片側を壁にピン接合して反対側をフラットバーで支持したもの。光の透過を妨げず、
空間的な圧迫感も抑えたデザイン。

こちらは壁構造で350mm断熱。

しっかり模型を作りPRと同時に仕事を記録しているのがいいと思います。

二階の水廻り。もの凄く開放性の高いお風呂なんかはひと頃の工務店自社設計とはとても思えない。

階段から南方向を見返す。非常に間仕切りが少なく広々とした空間構成。

屋根断熱とすることで天井デザインの自由度を上げる。壁と天井のスリットに照明を仕込んでぐるっと四辺を光らせる。なんていう間接照明。お約束の居室の天井の中央に円盤型の大きな照明器具なんてここにはない。

すっきりまとめられた二階のユーティリティー。ついにトイレも一体型の時代が。これも従来の工務店の自社設計ではまず見られない。便器の見える設計なんてしたら叱られる会社がまだまだ多い。 やっぱ北海道の工務店さんは凄いね! 私もガンバロウ!

今日はJAZZね https://www.youtube.com/watch?v=ReOms_FY7EU