2017年8月30日水曜日

西野まちなかの家 気密測定(1回目)

本日は、第一回目の気密測定の日。風速は0.6m/Sと穏やか。

外気温21.4℃、相対湿度49.8%、天候は曇り。測定環境としては問題なしです。

室内では、Dr.タギ氏がセットアップを完了。超高気密住宅専用の小さなラッパ(整流筒)で計測を開始します。話は変わりますが、タギ氏は、旧荒谷邸の現在のオーナー、気密測定のJISは荒谷先生と教え子の皆さんの努力によるもの。なんだか不思議なご縁を感じます。

この小さな整流筒、地元のコーナー札幌製でC値が0.5以下の超気密住宅専用の装備。最近の300mm断熱の現場は充填断熱工法で概ねC値が0.2cm2/㎡、外張り工法だと気密が高すぎて計測不能→結果的に少々気密を緩めてC値0.1cm2/㎡程度になります。

排気機を回して室内の空気を減圧してゆくと僅かな漏気部分を発見。棟梁がすぐさまテーピングをします。

その結果、第一回目は建物全体で30cm2だった隙間が・・・

26cm2まで減少し、隙間特性値1.22、C値は0.2cm2/㎡となりました。
 
本日はJazzTronikで行きましょう!
 

2017年8月29日火曜日

西岡の家 屋根防水点検&補修工事 その2

外屋の部分は雨水が壁を伝うことがないように水止めを追加していただきました。

軒の先端は既存のトタンの上からL型水切りを被せてシートを増し貼りいたしました。

立体的に見るとこんな感じ。屋根に溜まった雨は壁を伝うことなく軒先から外に落ちます。

下から見るとL型の水切りが既存のトタンの軒先の上に被っているのがよく分ります。明日からは電気温水器の撤去と灯油給湯器の取り付け、ホームタンクの組み立て、石油ストーブの取り付けと進みます。
 
 
約10年前は窓下の水切りも必死に考えてこんな感じでした。
 
ずいぶんスマートになりました。
 
 


今日はバンドメイドなんていかが(笑)

西岡の家 屋根防水点検&補修工事

今日は2009年に大規模性能向上リフォームで蘇った「西岡の家」の現場に来ています。約10年経って外壁のステインが色落ちしたのと、0勾配屋根の経年変化の様子や劣化部位の確認、当時はまだなかった役物による改良等が目的です。
 
 
汚れてはいますがほとんど劣化や硬化を感じないシート防水の表面。シート自体は全面接着ではなく点付け接着工法なのでその部分のみ補強パッチを増し張り補強すればそれで終了。

こちらは今回改良を加えることになった軒先。現在はL型の雨切りを打ち付けていますが、当時はそれを板金で作りその上にシートを接着していた。今回の点検で現在の工法と同様にこの状態のまま上からL型雨切りを被せシートを増し貼りすることとしました。経年はほんとうに技術の進化には欠かせない先生でその蓄積を通してしか普遍的な納まりは完成しないと思っています。

増し貼りを終えた点付け部分。

無落雪を優先させるためにこんな風に薄く雨水は屋根面に溜まります。

こちらは外壁の様子。右側から塗装屋さんが塗装してきたところ。塗料メーカの多くは5年以内の塗り替えを薦めるが、現実的に考えて5年ごとに家の回りに足場を掛けるなんて非現実的だ。そこで外壁材に轢きたての粗くけば立ったものをあえて使い、たっぷりと塗料が染み込む様に工夫している。こうすることで約10年くらいは塗装の間隔を延ばすことができる。
 
 


野幌の家 基礎工事

布基礎までコンクリートを打ち終わった「野幌の家」。角地なのでそれぞれの道路の高さが異なりGL(基準とする地盤面)をどの高さに取るのかで難儀しましたが、擁壁を設けることで隣地への影響が薄れてちょうど良い位置に基礎高さを設定することが出来ました。

こちら側がカーポートで幅員の狭い道路に摺り付けます。

こちらは玄関スラブの支持。床下の空間を使うために土で埋め戻してしまうことなく空間とします。

隣地との間に擁壁を設ける(縁を切る)ことにより、隣地とは異なる角度でスロープ勾配を敷地内に引き込むことが可能となる。

カーポートの一部をトンネルのように使って極力、雪や雨に当たらずに玄関にアプローチするためにカーポートに向けて掘り込んだ玄関ポーチ。道路から近い位置に出入り口を設けざるを得ない敷地条件の場合はこんな風に工夫します。
 
50年前の音源なのにこれでいいじゃないか!と思ってしまう。
今日はビートルズなんていかが(笑)

西野まちなかの家 外装工事

板金屋さんの窓下水切りや腰水切りが完了し通気胴縁を打ち終わると、いよいよ外装の木板を貼り上げて行きます。住宅街に多いサイディングではなく、年月と共に味わいを増す材料が好きなのと簡単なメンテナンスを狙って最近は貫板を保護液に漬けたものを貼る機会が増えました。北海道でも地域によって端柄材の種類はさまざま、札幌近郊はエゾ、トドの貫板が多いですが道南ならば杉材、道北ならカラマツ材が主流になります。
 
板金屋さんの丁寧な仕事で見付け15mmに折られた腰水切り。
 
小さな窓の多い北面から貼り込んで行きます。
 
こんな風に一部を半円状に削って空気が壁のすぐ下を流れるように通気加工した胴縁を使います。通気胴縁で押さえられている白いシートは防水と透湿を担い、このシートの下にはさらに耐火ボードを貼ってあります。そのボードでグラスウールを押さえることで、ウールの膨れで通気層をふさぐことがなくなり、写真のように仮に雨水が通気層に浸入してもすぐに下に抜けるようになります。
 
今回は水切れを考慮して従来より水切りを10mm前に出しました。
 
合板の下地を包むように、また木口もしっかり塞いで、下から見上げられても下地の合板が見えぬように加工するのは板金屋さんの高い技量が必要です。この状態で先端の見付けが20mm。従来通り10mm短くして腰水切りと同じ見付15mmで納めるのか悩むところです。
 
こちらは上からの図、これから板同士の隙間を埋めるように27×18mmの押縁を打ちますがその押し縁の面から20mm離れて水が切れるように10mm水切りを伸ばしたのです。
 
さて貼り上がりが楽しみになってきました。(笑)
 
今日はJazzTronik行きましょう!

西野まちなかの家 製作キッチン工事

「西野まちなかの家」のキッチンはクリナップ直需事業部で製作していただきます。この直需事業部を置いているのは東京の他は北海道のみ。平たく言えばあのクリナップさんが各家庭専用のキッチンを特注で作ってくれると言う(笑)・・誠に恵まれた地方なのです。もちろん価格も含めてあらゆる部分のオーダーが可能なので、今では当事務所では既製品より特注物のキッチンの方が多いという状況。オーダーキッチン専用のショールームでパーツ一つ一つから日頃のメンテや使い勝手、その他中々聞けない情報までキッチンスペシャリストの石川氏と過す時間は私たち作り手にとってもとても勉強になります。 
既製品でよく見る、簡単な三面図ではなく、全て施工図面を起こし、実際の面材や水栓、ハンドルやノブの一つに到るまで実物を見ながら決めてゆきます。夫婦で体格差がある、高齢の母と一緒に使う、娘と対面で料理をしたい等々・・・の場合はミリ単位で天板や吊り戸棚の高さを調整します。電子レンジをカウンター下に隠したい。お住いの地域特有のゴミの分別種類に応じたゴミ箱をスマートに格納したい。扉や天板に地域産の木材を使いたい。他社の食卓テーブルを連結させたい、扉は全て旭川家具で揃えたい等々・・・今や北海道の建築家は石川さん様々です。(笑)最近ではクライアントの奥様から「キッチンは石川さんに」と逆指名も出るようになり、ここ7~8年でクリナップさんのオーダーキッチンはすっかり地域に定着しました。
 
過去ログ
 
 
 
 
今日はT.Flanaganなんていかが
 
 
 

2017年8月20日日曜日

畑って最高!

今日はトマトがたくさん採れました。大切に育てているハーブ類もとってもいい香り、お昼から上棟のお祝いがあるので持って行こうかな(笑)・・・夕方には家族でお肉でも焼こうかな、畑とBBQは短い夏の楽しみ。今日はいい日ですね。
 
こちらは焼きトマト。トマトの他はニンニクのローストとオリーブ油だけ。冷蔵庫で日持ちするので暇な時に作っておくと、パスタだったりお肉のソースに転用したりと大活躍します。ぜーんぶ自宅の庭の野菜で出来るので安心ですしね(笑)こちらも夏の楽しみです。
 
今日は土岐麻子・・2000年代のEPOって感じ?
 

2017年8月19日土曜日

帯広の家 断熱改修工事

北海道における木造の断熱手法は大別すると繊維系断熱材を用いた充填系とボード状断熱材を用いた外貼(張)り系の二つが伝統的である。主に前者は新住協を中心に工法の改良が進められ、後者はかつての北方圏住宅研究会や各メーカー系の勉強会がそれを担った。一時期は外貼り派VS充填派に分かれて厳しい批判の応酬を繰り返した時期もあったが、現在では充填と外貼りを併用して行う充填+付加断熱が主流であり、壁の中に断熱材を詰めること自体の良し悪しを論じた時代ははるか昔のこととなっている。
 
写真は1987年竣工の外張り断熱を用いた住宅の現況写真である。軸組みの外側に壁は50mmのXPSを屋根には野地板の外側に同じくXPSを100mm施工している。図面で見る限りシンプルに完結した外張り構造なのだが現実はかなり複雑だ。冒頭にも述べたように充填、外張り、それぞれの工法が長期に渡り改良を必要とした点は気密の確保だったからだ。
 
そもそも壁の内部を自由に通気させ徹底的に外気に開放することを目的に進化した在来木造をその本質的な目的に逆らって断熱しようとすれば隙間という隙間を徹底的に断熱充填した上で水蒸気移動に対する備えを固めるしかない。壁の中を充填断熱するということは力学的構造を断熱構造と併用することを意味しているから断熱構造が良くないと即座に構造も破壊してしまう。こうした理由から、充填断熱を極めた工務店の技とは緻密で丁寧な「先張りシート」であり、家中に無数に存在する躯体内の気流を止める「気流止め」施工であった。後に剛床の普及(床先行工法)によって気流止めが新築においてはほぼ不要になったのは意外な事実であった。

一方外張り断熱は構造内を断熱層として使うことなく構造外のレイヤー(層)に熱橋を気にせず断熱できる点が、特に設計者や研究者に受けてより合理的でスマートな断熱工法だと信じられていた。しかし実態は充填断熱と同じように 初期には気密確保に苦労する。軸組みの外側にボード状断熱材を張ったのみではボード同士のジョイントから空気漏れを起こすのは必然であった。こうした致命的な欠陥も不思議なことに軸組みの外側に張る耐力面材の普及と共に一気に解決に向う。外張り断熱もまた構造の進化に助けられて完成度を高めたのだ。
写真は柱外の耐力面材がまだ普及していなかった時代の外張り断熱。通気層にタイベック(防風+透湿+防水シート)もないので青い断熱材が見える。もちろん断熱材同士の継ぎ目からは外気が大量に壁内に入ってくる。それを対症的に解決するために本来外張りには不要なはずの気流止めGWを外壁上部より押し込んでいる。当時の大工は図面の上では明解に解決済みの事柄がまったく現場で解決できていないことに驚き悩んだと思う。

紫外線に極端に弱い性質を持つXPSだが日光の当たらない室内側から確認したところでは劣化はほとんど見当たらない。しかしこの建物本来の断熱性能を発揮させるところまで直すとなると、効果的に気密を上げた上で更なる断熱を行うしか方法はないということになる。
 
今までは充填断熱主体の処方箋を研究してきたが帯広の家では低気密外張り断熱の家の断熱リフォームに挑戦します。現場は9月よりスタート、工期は概ね1.5ヶ月。チーム帯広始動します。
 
女性2人組M2Mなんていかが、曲調は80年代っぽくていいね!

西岡の家 設備改修工事

北海道が進める優良な性能向上リフォームのブランド「R住宅」として1970年代の建物を断熱的、構造的に徹底してリフォームした「西岡の家」もあっという間に8年の歳月が経ちました。その間に庭の緑は増え、近所でも評判の住いになりました。
 
しかし竣工後2年目にして起こった東日本大震災はオール電化王国と呼ばれた北海道の景色を一変させました。度重なる値上げや深夜電力の新規契約におけるメリットの消失はオール電化という考え方自体を揺るがせ、過去に何度も経験したように現在は急速に電化離れが進んでいます。かつて石炭から石油へ、そしてガスから電気へと移り変わってきた北海道の住まいのエネルギー。ようやくエネルギーの種類に振り回される時代を卒業し、最近は若い世代を中心に「断熱」に積極的に投資する視点が広がっています。
 
「北海道R住宅」とは http://hokkaido-r.jp/ 
 
2009年竣工の「西岡の家」も当時は一般的だったオール電化として設計され、給湯は電気温水器、暖房は蓄熱式暖房機と電気式オイルヒーターの併用というシステムです。震災以前は平均的な光熱費でしたが、その後の値上げにより今では当初の3割弱の上昇。さすがにこれでは家計の維持は難しく今回の暖房+給湯熱源交換と相成りました。
過去ログ「西岡の家」 http://ako-re.blogspot.jp/2009/08/blog-post.html
 
断熱性能自体が1999年基準(Q値1.6)程度の「西岡の家」では300mm断熱でよく用いているLPG熱源では割高になります。そこで最も価格的にこなれた灯油熱源で給湯と暖房を行うことにしました。なんだか灯油?なんて聞くと時代に逆行するような気もしますが、現在における石油機器の進化はめざましく、断熱のポテンシャルが高ければ充分に光熱費をコストダウンできます。そこで、南側に吹き抜けのある西岡の家では小さな輻射型FF式ストーブをLDKに設置し主にストーブ1台で全館を暖房しようと考えました。
 
給湯はコンベンショナルな壁掛け式の給湯専用ボイラーに変更してしまいます。
 
轢きたての外壁はたっぷり塗料を含んで8年経っても多少色抜けしたくらい。しかしさすがに木製サッシはそろそろ限界。当時の塗料はアメリカ製のオリンピックステイン。しかし今では同じ色の入手が困難に。そこで塗り重ねても影響が少ない塗料を工夫して再塗装します。
 
拡大するとかなり色見が褪せているのがわかる。
 
こちらは下屋部分のオーバーフロー。2009年当時の0勾配シート防水にはまだなかった対策パーツが出来たのでほとんど壁を伝わないように改良する予定。
 
正面の公園から見た「西岡の家」。建物とは別に庭木の剪定も計画中。
 
今日はシシド.カフカ・・かっこいい!
 

野幌の家 基礎工事

基礎工事が始まった「野幌の家」、銭函の家から数えて24棟目の300mm断熱の家です。敷地の周囲には資材置き場が確保できるので助かっています。
 
 
打ち継ぎ部分からの漏水を防ぐために止水板をセットしました。パッシブ換気は湿気らない床下の確保が大切ですから、水はけのよくない敷地の場合は工夫が必要になります。

基礎の下には砕石層を設けて透水性を妨げないようにしておきます。

周囲を基礎で囲まれた島の部分も極力、透水性を妨げぬように土を砂利に置き換えて水はけを改良しておきます。

こちらは道路保護用の鋼板マット。敷地の一部は雨水が開渠(側溝)なのでその保護のために敷き込みました。

しっかり敷き込まれた砂利層。


この後、第三者試験を受けてまずはベースを打設します。