自己紹介

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札幌市, 北海道, Japan
はじめまして。 北海道、札幌市で設計事務所をしています。 暮らしに最も近いものづくり「建築設計」 地域色豊かで環境的、使いやすくて長持。 そんな暮らしのデザインが大好きです。 社会の悩みを建築デザインのテーマにすると面白い! そんなことを考えながら今日もスケッチしています。建築(暮らし)のお話しあれやこれ... どうぞお楽しみ下さい。

2017年9月21日木曜日

西野まちなかの家 階段工事

室内にボードが貼られ内装がどんどん進む「西野まちなかの家」。リビングに掛ける階段をどうしようか?と色々と悩みましたが、店舗什器製作所さんに素敵な階段を作っていただきました。材質はカバの集成材。段板は北海道産白樺の合板です。オイルで拭くと温かな木目が引き立ってとてもきれい。残念ながらありふれて感じるせいなのか・・・北海道の人にはぜんぜん人気のない白樺ですが、私は大好きで使い続けています。(笑)
 
階高が2520mm、蹴上げ180mmなので14段目が2階の床。1階の天井高は2150mmと抑えて行きます。2階の床の厚みに相当するフトコロは370mm。高断熱+高気密空間として設計するとダクト空調はもちろんのこと、天井フトコロを要しないパッシブ換気のようなダクトレス空調が使えるので矩計(カナバカリ/垂直方向の寸法設計)の自由度が増します。階段の段数を抑えることが出来るので最近多い30坪以下の間取りとの相性も悪くありません。
 
段板の厚みは24mm。丈夫な白樺合板なら意外にもぜんぜんたわまず大丈夫です。お子さんが落ちないように手摺の間隔は狭く詰めますが空間を圧迫しない充分な開放感だと思います。
 
(有)店舗什器製作所HP http://tenpo-kagu.jp/
 
瀧澤ベニヤ株式会社(白樺積層合板)HP http://www.takizawaveneer.co.jp/
 
 
 
 
 

野幌の家 建て方工事

二階の居間にはスパン5mを超える登り梁を複数掛けなくてはいけない「野幌の家」。本日はクレーンを敷地内に据え付けて、梁掛けです。大工さん3名も準備万端、前日には順調に2階の低層部まで梁掛けが終了し今日は朝一番から大梁に挑みます。
 
クレーンで順調に吊り上げられ両端部金物接合の柱と梁にがっちりと接合。緊張の一瞬ですが・・見事に・・
 
接合完了!と喜んだのも束の間、上の写真を見て大切な加工が一切なされていない事に気付き・・あえなく建て方は中断。台風が上陸する前にべストのタイミングで終らせようと思っていたところに残念な結果となったのが9/16(土)。そうここまでの写真は先週末のものです。
 
しかしそこからが素晴らしかった、すぐにプレカット工場に連絡し加工記録を確認、バグの発見と理由を見つけ、未加工の梁11本を引き取りに来れるかどうかを相談。現場の大工さんには掛けた梁の解体をお願いし、プレカット工場の担当者も昼前に現場に到着して問題は解決。どのみち台風が上陸するのでその間を再加工の時間にあて、連休明けから建て方再開となったのです。
現場を担当指定ただいている飛栄建設さま、ニッショウさま、そしてチーム野幌のみなさまに心より感謝いたします。
 
           
これが週明け建て方が完了して合板を貼った状態。最初の梁の写真には上のように細い垂木を落としこむ欠き込みの加工が全くありません。これでは隣り合う梁をつなぐことも出来ないために合板を貼ることも出来なかったのです。この垂木、約20cm間隔で細かく入れることで重たい合板を敷くまでは大工さんの大切な足場になります。特に傾いた屋根は危険な高所作業を伴いますから作業中の安全も出来上がった後の意匠性も考えてよく採用するディテールなのです。
 
工場で全ての構造材を加工するプレカットを大工の腕が落ちると毛嫌いする向きもありますが、私はその加工性の高さを生かしてプレカットでしか出来ない在来木造の美しい小屋組みが出来ないものかと思っています。本州でよく見る赤味の効いた美しい杉材の小屋組みに憧れているので、地元の林産試験場が苦心の末に開発してくれた唐松集成材の梁を使います。もちろんその梁に組み合わせる垂木も唐松材、ここまで来れば合板も地元と行きたいのですが・・最近はなかなか良いものが手に入らないので今回は石巻産です。(笑)
 
もちろん壁や天井で隠蔽されることが前提のプレカット加工を顕しで仕上げに使おう!等というのは大変なことで・・・(いつもスイマセン/笑)、担当してくれるCADオペレーターの人も接合金物から切削機械の歯の切れ味から・・全て見られることを前提に打ち合わせや了解事項の共有が必要になります。おまけに今回は合板がよくないとか、梁の木目が美しくないとか色々と大工さんに言われるわけです。(笑)でもちょっと待ってくださいよ、隠して使うしかなかった時代はこんな話しみんなでしただろうか?唐松の色変わりがきれいに見えるようだとか、合板の木目がきれいだと気持ちがいいとか、顕しなんだから傷が残らんように金槌はゴム製のを使えとか、建て方の丁寧さからそもそもぜんぜん違う。隠れるのだから仕事も相応でいいという空気があっけないほど簡単に吹き飛ぶ、これはこれで気持ちがいいし大切なことだと思う。改めて日本の顕す文化の意味を感じました。
 
二階の小屋まで組みあがった「野幌の家」。屋根型も従来よくある殺風景で四角い北海道風陸屋根ではない部分的な片流れ屋根。ここ10年のシート防水の発達と普及は色々と問題の多かったスノーレーン型屋根を駆逐しながら地域の屋根にデザインの自由を取り戻しつつある。 
 

         
厳重に養生したにもかかわらず台風通過時の豪雨で少しだけ雨が気密シートの裏側に回ってしまった。天気は通過直後の快晴。すぐさま資材を動かして・・
 
すぐにビニールを開口し天日で充分に乾かす。水が合板下の唐松の骨組みにまで染み込むと、タンニン成分の多い唐松は黒く変色してしまう。
 
こちらはスパン3m超えのカーポート。屋根を薄く見せると同時に積雪荷重に耐えるために梁成150の木梁の両側から鉄鋼の梁で挟み付けて補強する。
 
うーん・・竹内まりあっていいですよね~



帯広の家 外壁解体工事 その2

 
 
 
前回お伝えした、外屋の雨水が壁に侵入し通気胴縁を腐らせた部分の拡大写真です。この部分はどうやら竣工直後から問題があったようです。写真の胴縁に映るビスの頭に注目。30年前にはなかった角ビットです。要は竣工後の外壁補修の際に同じような状態が見つかり、補修したのでしょう。しかし根本的な漏水を始末しなかった(出来なかった?)ために同じ状態を繰り返してしまったようです。この状態だと板金の裏にまで水が入り込み土台を痛めているかもしれません。大工さんにお願いして一度断熱材を全て取り除いて現状を確認する必要があります。
 
こちらは黒アリの蟻道です。一般に板状断熱材、特に押し出し法ポリスチレンのXPS等は耐水性が高いと思われがちですが、実際はかなり吸水します。なので通気層に対しては水に弱い繊維系断熱材と同様に、防風+防水+透湿シート(タイベック等)で表面を覆います。水分は必ず蟻を呼び被害を拡大させてしまいます。1階の面積が大きくて2階が小さい建物。平たく言えば外屋が多い建物は特に雨仕舞いが大切だな~と実感します。
 
こちらは通気層内部を流れた雨水がサッシとの隙間から躯体に入り、それに呼応するように蟻が入り込んだ痕跡です。
 
こちらは断熱材自体を食い破り濡れた柱や桁を目指した痕跡です。重要点検箇所になります。
 
建物の気密不足は、恐らく大量の隙間風を室内にもたらしたのだと思います。北海道の家は冬場室内を丸ごと暖かくするのが当たり前ですから、内外温度差の拡大で換気量(隙間風)は増大します。原理的には柱の外側で気密+断熱されているはずなのに室内が寒くてたまらない。この現象は当時の作り手も気付いていたのだと思われる痕跡が上の写真です。外張り断熱なのに壁の中に部分的にグラスウールが入れられています。これは壁の中を通り天井裏に吹き抜けようとする隙間風を止めるための気流止めです。写真で見ると断熱材が落ちないように幅広の横材が見えます。ここが解体前の天井のライン。グラスウールがなければ壁内の空洞と天井裏がつながるのがよく分ると思います。しかしそうした努力も虚しく壁内の気流を止める事は難しかったようです。写真を見るとグラスウールの上部がかなり黒く変色しています。これはダスティングと呼ばれ水分を含んだ空気が通気性の高い繊維系断熱材の中を通り抜けた際に残す痕跡です。
 
話は変わりますが、30年前に外張り断熱派と覇を競い合ったもう一つの断熱構造、充填断熱派が気密性を確立するために苦心したのもこの気流止めでした。そもそも在来木造の家というものは極力家の内外をなくし徹底的に外気に開放するように作ります。要は壁も床下、屋根裏、間仕切壁に至るまで通気性を確保し前述のような水による害から自身を守るという自己保存の設計思想こそその本質です。一方「断熱」とは内外を明確にすることを意味します。外気が入ってきてよいところとそうでないところ、水分も全く同じです。両者は特に相互依存の関係が強いですから、慎重にディテール(詳細)を詰めねばいけません。

しかし今改めて見ると、本質的に隙間風の確保を目的に作られて来た在来木造を、それとは反対の構造に作り変えることは至難の業であったのがよく分ります。剛床と呼ばれる床先行工法の発達、壁の中の筋交いをやめて、外周部の柱外に合板を貼る耐力面材の普及。こうした構造レベルの進化や革新なくして問題は解決しなかった。現場はいつも新鮮な気付きを与えてくれます。

敷地のある十勝地域の作り手の多くがこうした現実の中で、気密化の難しい在来木造から枠組み壁工法にシフトしていったのもある意味自然な流れだったのかもしれないと、今にして腑に落ちた感じがしました。
写真は厚み45mmの隙間(通気層内)に作られた鳥の巣の痕跡。在来木造によく見られる小屋裏や床下といった未利用空間はさまざまな動物の営巣場所でもある。街の生態系を健全に維持するために共存できる方法はないものだろうか?と考えさせられる。
 
さすがに奥行き45mmの家では窮屈だったと見えて断熱材を破って小屋裏に入ろうとした跡。
 
当時のユニットバスは気密もよくない。特に浴室内の換気を疎かにすると大量の水蒸気が窓の隙間から外部へ移動しその過程で露点を生じる。UBを交換するのでその際の重点修理ポイントです。
 
こちらは2階バルコニーの柱が屋根の板金と断熱材を貫通し1階の桁上につながっている十字交差部分。柱の根元から漏水し下の桁を痛めここにも黒アリが侵入している。こちらも重点修理ポイントとなります。
 
ところでこの人凄い!松原正樹よ永遠に